「焼き肉店」の倒産が昨年の3倍に! コロナ禍でイケイケだった外食産業の“勝ち組”に何が?
外食産業の「勝ち組」だった「焼き肉店」の倒産が急増している。帝国データバンクの調査によると、2023年の倒産件数は、8月までに16件と昨年の同期間に比べて3倍に達し、過去10年間で最多のペースになっているという。
テーブルごとに吸気ダクトが備えられた焼き肉店は、「換気がいい=三密回避」のイメージが定着し、コロナ禍で注目され、他人と接触しない「一人焼き肉」といった新たな形態もヒット。2020年8月には、検索フリーワードで「焼き肉」が1位になった。居酒屋「ワタミ」を筆頭に異業種からの参入も相次いだ。
ところが、帝国データバンクによると、円安によって輸入牛肉の価格が高騰、電気・ガス代も上がり、さらにアルバイト代といった人件費も上昇したため、焼き肉店はコスト増に苦しめられているという。大手外食が参入したことで価格競争も起きているそうだ。
外食ジャーナリストの中村芳平氏はこう言う。
「ワタミなど大手の参入が相次いだ当時から、いずれ焼き肉店の淘汰が始まると予想されていました。焼き肉店は当時から牛角や叙々苑、キングなどチェーン店がいくつもあり、個人店も多い。過当競争になることは業界関係者は分かっていました。一見、焼き肉店は簡単に経営できるように見えますが、そう簡単ではありません。まず、肉のカットが難しい。カットは卸業者に任せられても、おいしいタレを作るのが、これまた難しい。ワタミも相当、研究を重ねていましたね。付け焼き刃では、リピーターがつく味は出せません。さらに、良質の肉を安く、安定的に入手する仕入れルートを整備するのも大変です」