上場企業の銀行なのに特別扱い?「不滅の日銀」の雲行きが危なくなってきた
「日銀は永久に不滅です」
巨人の長嶋茂雄氏の名言「巨人軍は永久に不滅です」をもじって、日銀をこう揶揄する市場関係者がいる。
その「不滅の日銀」が5月29日に発表した2022年度の決算は、日銀法が施行された1998年以降で初めて最終利益が2兆円を超え、国庫納付金も増えた。ETF(上場投資信託)の運用益や国債の利息収入などが増えたためだ。だが、保有する国債の残高は過去最高の581兆円余りに達し、長期金利の上昇(国債価格の低下)に伴い17年ぶりに含み損1571億円が発生した。
日銀は「国債を満期まで保有することを前提とした会計処理をしているため、評価損については直ちに問題は発生しない」と説明するが、はたして大丈夫なのか。
植田和男総裁は国会での答弁で、国債など大量の資産を保有する現状を「必ずしも正常な中央銀行のバランスシートではない」と話しており、今後、金融緩和を縮小する「出口戦略」の過程で含み損が拡大し、債務超過に陥る可能性も指摘されている。日銀は不滅と断言できないような雲行きだ。