メガバンクが中途採用を積極化のなぜ…前年度比3倍以上に急拡大の本音
今春、メガバンクである中途採用が話題となった。某メガバンクで広報を担当していた中堅社員が、他のメガバンクの広報部に転職したのだ。
「広報部はトップと直結する部署で、外に向けた顔でもある。社内外の情報が集中する重要ポジションだけに、メガバンクからメガバンクへの移籍はこれまで例を見ない」とメガバンク幹部。この社員は自ら他のメガバンクの中途採用に応募したようだ。いわゆるジョブ型採用の典型と言っていい。「広報という職務に対する意識が高い、優秀な人材」(採用したメガバンク関係者)という。
この銀行間の転職にとどまらず、ここにきてメガバンク各社は他業態を中心とした中途採用を積極化させている。「フィンテックに代表されるITと金融を一体化した分野など、規制緩和に伴い銀行の業務範囲が広がっている。かつ高い専門性を必要とするため、既存の人材育成プログラムだけでは追い付かない。中途採用で多様な人材を確保することが不可欠になっている」(先のメガバンク幹部)というのだ。
三菱UFJ、三井住友、みずほの3メガバンクの採用に占める中途の割合は2019年度に7%程度であったが、今年度は4割に近い水準まで高まると予想されている。直近の実績である22年度の中途採用実績を見ても3メガバンク合計で約570人と、前年度比3.3倍まで急拡大している。