日本原子力発電は“ぼったくりバー”? 2カ所とも稼働停止なのに1000億円の売り上げで黒字
「原子力ムラのぼったくりバー」。電力業界関係者らの間ではこんな皮肉も飛び交う。日本原子力発電──原電のことだ。
東京・上野に本店を置く原発専業の卸電気事業者で、茨城県東海村と福井県敦賀市の2カ所に発電所を持つ。ここで発電した電気を東京電力ホールディングス(HD)をはじめとした電力大手に売って収益を稼ぐというのがビジネスモデルだ。
だが、どちらの原発も2011年の東日本大震災による東京電力福島第1原発の過酷事故以降、稼働停止中だ。要するに現時点では売り物となる商品が何もない。にもかかわらず、この会社は毎期1000億円前後の売上高を着実に計上し、しかも黒字を維持し続けているのである。
先週18日に発表された23年3月期決算も減収減益とはいえ売上高は921億円(前期比0.9%減)。9億円弱の特別利益を計上したこともあって最終利益18億円(同25.1%減)を確保した。6年連続の黒字だ。
なぜこんな芸当が可能なのか。その“からくり”が「基本料金」と呼ばれる料金体系だ。原電と電気の供給契約を交わしている電力大手5社(東電HD、東北電力、中部電力、北陸電力、関西電力)は購入した電力量が仮にゼロであっても毎年一定の料金を原電に支払い続けなければならないような仕組みになっているのである。これが原電の経営を支えているわけで、今や「(原電に対する)一種の支援金・寄付金と化している」(東電HD関係者)と言ってもよい。