中小企業の春闘“満開”ははかなし…「背伸び賃上げ」が廃業&倒産リスクを高める
業績の裏付けがなく、多くの中小企業は“背伸び”をして賃金を引き上げざるを得ないのだ。岸田首相が強調する「持続的な賃上げ」にはほど遠い。
この先も業績が好転しなければ、賃金アップ分が重荷になり、経営は悪化。また、賃上げを継続できなければ人材確保も怪しくなる。そんな事情で中小企業の廃業・倒産が多発してもおかしくない。
「大企業の引き抜きが、人手不足を深刻にしている面があります。取引先の中小企業の従業員に厚遇を示し『ウチに来ないか』と誘うのです。誘われれば喜んで転職するケースが多い。大企業に評価されるような“エース級”がいなくなれば、中小企業側は大打撃です」(経済ジャーナリスト・井上学氏)
そもそも中小企業の業績がパッとしないのは、取引先の大企業がコスト上昇分に見合った価格転嫁を十分に認めないからだ。
満額回答ラッシュの春闘に浮かれているのは大企業の社員だけ。中小企業の満開の桜はすぐ散る運命なのか。