「楽天銀行」上場でグループには1000億円転がり込むも…経営基盤立て直しまだ前途多難
このためグループ総帥の三木谷浩史会長兼社長はかねて「(財務体質改善には)資本性資金の調達が必要」と強調。楽天銀上場の準備を進めてきた。今後、証券子会社の楽天証券ホールディングスの上場や外部資本の取り込みなども模索していく構えだ。
もっとも抜本的な経営基盤の立て直しには多額の営業赤字の垂れ流しを続けているモバイル事業の止血と早期黒字化が必須だ。ただ1契約当たりの月間平均収入(ARPU)は昨年10~12月で1805円と大手3社のまだ半分以下。契約数も500万件にすら届いておらず、黒字化への道筋は現時点ではまったく見通せない。
楽天銀はネット専業銀行で、01年に開業したイーバンク銀行が母体。09年に楽天G(当時は楽天)が買収・子会社化した。口座数1338万件、預金残高8兆8469億円(昨年末時点)はいずれもネット専業銀としては国内最大。23年3月期は前期比33%増となる267億円の最終利益を見込んでいる。ネット専業銀の上場は29日の住信SBIネット銀行に次いで2番目となる。