元特捜部長レクサス暴走事故で“新証拠”(後編)解析画像を無視した東京高裁に「職務放棄」とあきれる
東京高裁は画像鑑定を無視
石川側は、無罪につながる重要な新事実が得られたとして、控訴審を審理する東京高裁刑事3部に山内鑑定を証拠請求した。刑事3部は第一回公判期日を決める前に検察側に山内鑑定に対する意見を求めた。
検察側は21年12月10日、警視庁に改めて防犯カメラ画像を鑑定させ、「画像からは足が車外に出ているとは見えない」と反論する意見書を高裁に証拠請求した。そこで高裁刑事3部の動きは止まった。
石川側は早期審理を求め、22年7月19日、警察側の鑑定意見に対し山内は「画像処理が適切でないため、画像の微妙な変化が失われている……靴が見えないなどと主張されているが、警察の画像処理で情報が失われたのであり、見えないのは当然」、「そもそも見えなくなる処理をしているので、見えないのは当然」と指摘する詳細な追加意見書を刑事3部に提出した。
東京高裁刑事3部は同年10月26日に初公判を開いたが、被告人側の控訴趣意書、検察官側の答弁書を陳述させただけで双方の証拠請求を全て却下。わずか数分で結審した。
同年12月14日に言い渡された判決は、山内鑑定に一切触れず、一審判決をそのままなぞり石川側の控訴を棄却した。石川側は上告した。