日本郵政は賃上げ大盤振る舞い、ベア民営化後最大 取引先の値上げ要請にも「満額回答」なのか
大手企業の春闘は満額回答ラッシュだ。16日も、マツダ、住友金属鉱山、すかいらーくHDなどが、組合要求に満額で応じた。今後の焦点は企業数の99.7%、労働者雇用の7割を占める中小企業にも、大幅な賃上げが波及するかどうかだ。
中小企業はコスト上昇分を価格転嫁できず、賃上げ余力に乏しい企業が少なくない。中小企業の値上げ要請を発注元の大企業が十分に受け入れないからだ。
とりわけ、「下請け泣かせ」なのが日本郵政グループ傘下の日本郵便だ。中小企業庁は先月、価格転嫁に後ろ向きな企業名を初めて公表。10社以上の中小企業から取引先として社名が挙がった大企業148社のうち、日本郵便は唯一4段階で最低の評価だった。取引先のコスト上昇分から、転嫁を受け入れた割合(平均)はナント「0割未満」である。
ところが、郵政グループの賃上げは大盤振る舞いだ。15日に妥結した今春闘で、ベースアップは郵政民営化後で最大の月額平均4800円。加えて物価高対応として1人当たり7万円の特別一時金まで支給する。定期昇給とベア、特別一時金を含めた賃上げ率は実に5.11%。足元の物価上昇率を大幅に上回る。