「今の中国は怖くて行けない」希薄化する日本人とのつながり
失速する対外貿易中国経済孤立化(下)
日本と中国の往来が復活し始めている。筆者の周辺でも渡航準備を進めているビジネスマンがポツポツと出始めた。
経済活動には人の移動が必要だ。コロナ前、商談や工場視察、見本市などを目的に多くの日本人が訪中した。ビザの免除や安価な航空運賃も手伝って、活発な往来を繰り返していた。「製品を売り込んだり、客先と食事したりと、取引のほとんどは直接訪問が生んだものだった」と貿易商のM氏は振り返る。
一方で、あるベテラン商社マンは「今の中国は怖くて行けない」と心中を吐露する。中国渡航ができない状況は商売に不利だが、「行けるようになったとしても行きたくない」というのが本音だ。中国に関わる誰もが共通して懸念するのが身の安全だ。「いつ、どのような理由を口実に拘束されるかわからない」と中国から距離を置きたがる。
貿易商のM氏は「この3年間で、中国なしでもやれる貿易体制を築いてしまっている企業も少なくない」と話す。貨物輸送の動きからも「中国の日系企業の半数近くが、何らかの形で中国の生産機能を他国にシフトさせている感じだ」(大手物流管理職)という声が漏れる。