白川方明・日銀前総裁が“アベクロ”猛批判…アベノミクスを「壮大な金融実験」とバッサリ
日銀総裁候補の国会同意人事案の採決まで1週間となる中、アベノミクスの立役者である黒田総裁に対する痛烈な批判が話題だ。10年に及ぶ異次元緩和は国際競争力を低下させ、足元の輸入物価高を招いている。酷評されて当然なのだが、発言の主が言葉を選んできた白川方明前総裁だからインパクトは絶大だ。
白川氏はIMF(国際通貨基金)の季刊誌に「変化の時(Time for Change)」と題して寄稿。金融政策の新たな方向性に関する3ページの論文で、IMFのHPで1日に配信された。安倍政権と一体化した黒田氏が推し進めた異次元緩和を「壮大な金融実験」「ややナイーブな前提があった」などとクサし、こう批評している。
■異次元緩和は「おばかさん」
〈2013年以降、日本銀行のバランスシートがGDP比30%から120%に拡大した「壮大な金融実験」を改めて振り返る。インフレの面ではその影響は控えめだった。そして、成長面でもその効果は控えめだった〉
〈中央銀行が政策金利の動向を市場に強く示唆し、長期金利に影響を与える「フォワードガイダンス」。経済が低迷しているときは、市場参加者は低金利が続くと予想しているので、フォワードガイダンスはあまり効果的でない〉
〈(異次元緩和は)必要なときに簡単に解除できるという、ややナイーブな前提があった〉
財務省出身の黒田氏が導入したフォワードガイダンス(先行き指針)などの非伝統的な金融政策は意味ナシ。インフレも成長も促せなかった「実験」は失敗だったと総括したのである。ちなみに、「ナイーブ」には「おばかさん」の意味がある。