王将フードサービス(上)黒幕とされる人物は関与を否定「王将元社長とは友好的な関係だった」
「餃子の王将」を展開する王将フードサービス(東証プライム上場)の前社長、大東隆行氏(当時72)が2013年12月19日午前5時45分ごろ、京都市山科区の本社前で殺害された事件で、京都地検は22年11月18日、大東氏を射殺したとして殺人と銃刀法違反の罪で特定危険指定暴力団工藤会(北九州市)の2次団体、石田組(福岡県春日市)幹部、田中幸雄容疑者(56)を起訴した。
大東氏と田中被告の接点は23年1月現在、確認されていない。京都府警・福岡県警の合同捜査本部は「田中被告を実行役とした組織的犯行」とみている。
京都府警は事件が起きた直後から「大東氏個人への恨みではなく、経営を巡るトラブル」とみて捜査してきた。一連の不適切な取引があったことに、早い段階から注目していた。
王将フードサービスが事件後に設置した第三者委員会が16年3月に公表した報告書によると、王将の創業者の加藤朝雄氏(故人)が1977年ごろに知り合った企業グループの経営者に、出店したい自治体から建築関係の許認可を得るなどの口利きを依頼したことから、いわゆる“癒着”が始まった。
加藤氏が死去し、代表権が長男の潔氏(社長)と次男の欣吾氏(専務取締役経理部長)に移った後の93年ごろから“不適切な取引”が目立つようになった。多額の貸し付けや、経済合理性の乏しい、説明がつかない不動産売買などが繰り返され、総額260億円が流出したとされる。このうち170億円分が回収されないままになっているという。