岸田首相の「黒田切り」明言が波紋呼ぶ…日銀総裁人事で“安倍派分裂”待ったなし
「まず人は代わる。人事をしっかり決定した上で、国会に提示する」
4月に任期満了を迎える日銀・黒田総裁の後任人事について、岸田首相が22日のBS番組でこう発言。2月中に人事案を国会提出すると明言した。岸田首相は、約10年間も大規模緩和を続け、アベノミクスを支えてきた黒田氏を切り、政策転換を狙っているのは間違いない。黒田氏を疎ましく思っているフシすらある。
内閣を支える麻生派所属の甘利前幹事長が、岸田首相の意図を代弁するかのような発言を展開している。ブルームバーグ通信のインタビュー(21日配信)で甘利は、後任に望む資質として「(市場への)マイナス材料は少しずつ情報を出して発表時に織り込み済みにする悪だくみができる人がいい」と発言。昨年末に事実上の利上げをサプライズで公表し、市場を大混乱に陥れた黒田氏を暗に批判した格好だ。
岸田首相自身も、黒田氏が「引き締め開始時期は2~3年後」と将来の政策の方向性を縛るような発言をした際、官邸に呼びつけ「余分なことまで言わないように」と苦言を呈していた。
「候補に浮上しているのは、雨宮正佳副総裁、中曽宏前副総裁、山口広秀元副総裁の3人。誰が就いても『脱アベノミクス』にカジを切ることになるでしょう。緩和に慎重だった白川方明前総裁の下で副総裁を務めていた山口氏が起用された場合は、特に『脱アベノミクス』を強く印象付けることになる。最有力とみられる雨宮氏は黒田日銀を長年支えてきましたが、最近は緩和方針をかたくなに変えない黒田氏に疑問を抱いている。口をきかないくらい関係が悪化しているそうです」(金融業界関係者)