黒田日銀総裁“利上げ”の次の一手は? マイナス金利解除に追い込まれ、倒産予備軍16.5万社は大打撃
まさかの“サプライズ利上げ”により、市場に冷や水を浴びせた日銀の黒田総裁。利上げはこれで済むのか──。20日の会見で「(長期金利の変動幅の)さらなる拡大は必要ないし、今のところ考えていない」と“追加利上げ”に否定的だったが、果たして市場が許してくれるのか。
◇ ◇ ◇
黒田氏は「このような形で国債市場、債券市場の機能度を改善する」と実質利上げの意図を強調した。
実際、国債市場は機能不全に陥っていた。10年国債は実態金利とかけ離れているため、日銀以外の買い手がほぼいなくなっていた。日銀は10年国債を無制限に購入し、利回りを0.25%以下に抑え込んできたが、その一方、他の年限の国債金利が上昇する事態が多発していた。
金融ジャーナリストの森岡英樹氏が言う。
「国債市場を正常化するため、10年国債の金利上限引き上げはやむを得ない措置です。一方で『国債市場が機能低下に陥れば日銀は上限を引き上げる』というメッセージを市場に送ったとも言えます。この先、ヘッジファンドなどが暗躍し、日銀が新たに設定した上限0.5%でも、日銀のコントロールが続くため、国債市場が機能しなくなることは十分あり得ます。その場合、今回のように市場に催促される形で、黒田総裁がさらなる利上げに追い込まれる可能性はあります」