海外投資家による不動産買い占め活発化の背景に「円安」と「割安感」、観光地や地方都市も人気
東京23区の10月の新築マンションの平均価格は9365万円と、昨年同月より10.8%の上昇(不動産経済研究所)と、この10年で4割近い上昇だが、中国の不動産価格はさらにその上をいくというのだ。そして、歴史的な円安が日本への不動産投資を加速させているのである。趙氏が続ける。
「中国国内の政治的な問題もあり、海外移住を希望したり、資産を海外に移したいという富裕層が日本の不動産物件に注目し、投資しています」
こうした投資環境は都心部の不動産を億単位の価格で購入する富裕層にとどまらず、練馬区、北区、荒川区、江東区といった23区の端のエリアの物件を実需や投資対象として、キャッシュフローで購入する国内在住の中国人が増えてきているという。
■万博で注目の大阪、九州の福岡も人気
主要都市の再開発が増え、物件が豊富なことも円安をベースに海外投資家の買収意欲を高めていると、不動産アナリストの石澤卓志氏がこう述べる。
「香港の実業家リチャード・リーに続き、香港の個人的なファンドや、台湾、マレーシアの投資家、シンガポールでは政府公社が投資に積極的になっています。アジア圏で投資先の客を見つけやすいこと、治安も安心できることも日本が投資対象になる理由です」