電力大手3社に過去最高の“罰金”総額1000億円 関電は自主申告で処分対象外
マッチポンプ──。中国電力幹部が怒りに声を震わせる。
企業向けの電力供給を巡ってカルテルを結んでいたとして総額1000億円を超える課徴金納付命令の処分案通知を受けた電力大手3社。19年に摘発された道路舗装8社による独占禁止法違反事件の課徴金約399億円を大幅に上回る、過去最高の“罰金”となる。
3社──中部電力、中国電力、九州電力の中でも突出して課徴金が大きかったのが中国電だ。その金額たるや約707億円。1社単独で道路舗装8社の倍近くに及ぼうかという「重罰」(エネルギー業界筋)だ。
これを受けて中国電では先週末、23年3月期の業績予想を下方修正。第3四半期に独禁法関連損失として特別損失に引当金計上を余儀なくされることで、「過去最悪」としてきた最終赤字の幅はこれまでの1390億円からさらに2097億円にまで膨らむ。同3月末の自己資本比率は単体ベースで1ケタの水準に落ち込む見通しだ。
だが──中国電関係者によると、そもそもこのカルテルは「関西電力から持ち掛けられたもの」だという。18年秋ごろに関電の当時の首脳級役員から互いの管轄エリアからの撤退や積極的な営業を自粛するなど「相互不可侵」条約締結の打診があり、「関電と3社との間でそれぞれが協定を結んだ」とされる。