有森隆
著者のコラム一覧
有森隆経済ジャーナリスト

早稲田大学文学部卒。30年間全国紙で経済記者を務めた。経済・産業界での豊富な人脈を生かし、経済事件などをテーマに精力的な取材・執筆活動を続けている。著書は「企業舎弟闇の抗争」(講談社+α文庫)、「ネットバブル」「日本企業モラルハザード史」(以上、文春新書)、「住友銀行暗黒史」「日産独裁経営と権力抗争の末路」(以上、さくら舎)、「プロ経営者の時代」(千倉書房)など多数。

ENEOS HD(下)杉森会長退任で露呈したガバナンス機能不全 3人の女性社外取締役なぜ沈黙

公開日: 更新日:

 企業活動において人権の尊重が不可欠となった。政府は9月、企業が取引先を含めたサプライチェーン(供給網)全体で人権侵害を把握し、対策をとるための指針をまとめた。「あらゆる人権侵害を許さない」という、経営トップの決意が何よりも重要である。

 その意味でも、ENEOS前会長・杉森務(67)の女性への行為は許されるものではない。

 問題の本質は、社長の齊藤猛(60)や社外取締役ら経営陣が杉森からの辞表を受理しただけで、その後、行動せず、まるで「一件落着」のごとくふるまってきたことである。女性ホステスにけがをさせたのなら、立派な傷害事件である。一般従業員が勤務中に傷害事件を起こしたら、依願退職は認めず、懲戒解雇するのではないのか。現経営陣が杉森から出された辞表を、そのまま受理したのは寛大すぎる対応だったといえるかもしれない。

「週刊新潮」の報道を受け、ENEOS HDは「人権尊重、コンプライアンス徹底を経営の最優先課題と位置づけており、元会長がこれに背く行為を行ったことは極めて遺憾」とのコメントを発表した。

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