東映と東映アニメーションが「親子上場解消」が困難な理由
海外でも人気のコンテンツを数多く持つ東映アニメーションの2023年3月期の連結純利益は前期比40.4%増の180億円になる見込みだ。8月に日本で公開した「ONE PIECE FILM RED」の興行収入が170億円台に乗せるなど好調なほか、「デジモンアドベンチャー」シリーズのゲーム化権も業績を押し上げた格好だ。また、欧米での「ドラゴンボール」、アジアでの「スラムダンク」と、版権を持つ作品のアプリゲームがヒットしており、海外市場で版権をうまく収益に結びつけている。
だが好調な収益に比して株価は冴えない。21年9月には時価総額が1兆466億円と、初めて1兆円の大台に乗せ、東証マザーズ(現スタンダード市場)でトップの時価総額を誇ったが、その後は停滞を余儀なくされている。足元の時価総額はピーク時の半分にも満たない。
その要因のひとつとみられているのが、親会社である東映との親子上場の解消圧力だ。「東映アニメと親会社の東映はともに東証に株式を上場しています。いわゆる親子上場の状態で、その解消が問題視されているのです」(大手証券幹部)というのだ。東証は以前からガバナンス上の問題もあるとして親子上場の解消を求めてきた。しかし、両社の場合、解消は容易なことではない。