経済界に深まる「借金で防衛費増額」への危惧 若手経営者ほど膨張に甘い

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 いや、法人税増税も所得や、資産の多い層への課税強化も、国民の安全・安心の確保のためならやむを得ないとする良識派も少なくない。東日本大震災からの復興財源に法人税の納税額を10%、所得税は2・1%上乗せする長期的な特別増税方式を、今回も採用したらいいとも提案している。

 それなら、利益の多い企業や高所得の人ほど納税額が増え、利益が出ない中小・零細企業や収入が少ない人には増税が及ばない。妥当だ。自民党の宮沢洋一税調会長も、似た意見のようだ。もうひとつ気になるのが若手経営者ほど防衛費の膨張に甘い点だ。彼らの親世代は戦後生まれで、もう戦争がもたらす悲惨さが伝わっていない気がする。

 それは、政治家にも言える。防衛費を「思い切って増やせ、周辺国に負けるな」といった具合で、膨張がもたらす緊張の拡大に考えが回っていない。

 そういう傾向に、戦前の嫌な雰囲気を思い浮かべる財界長老もいる。「日本の安全保障の在り方」を基本に装備や財源の在り方を議論していく進路に戻らないと、財界の受け止め方はさらに冷え込むね。

(構成=竜孝裕/ジャーナリスト)

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