宮沢賢治を誤読した”番犬評論家”加瀬英明
加瀬英明(2022年11月15日没 享年85)
あるドキュメンタリー映画を観ていて、保守の大物として加瀬が出て来て驚いた。失礼ながら、吹き出してしまった。親の七光のボンボンが”大物”かあ、と溜息をついたのである。会ったことはないが、8歳ほど上の加瀬とは因縁がある。1980年代の初めに『東京タイムズ』の連載でバッサリやったことがあるのである。加瀬もまだ40代だった。
『財界』に「国際問題評論家」という肩書で、「喪失してしまうことばの文化」という知ったかぶりの無教養なことを書いていた。
喪失してもらいたいのは加瀬のような若年寄り(当時)の”番犬評論家”だが、加瀬はそこで、ことばは人間の長い歴史のなかで有機的に発達してきたものだと言い、「エスペラントが成功しなかったのも、人工的な無機質なものであったからであろう」と断じてる。そして、したり顔に「エスペラントは前世紀末に、ポーランドの眼医者によって国際語としてつくられ、日本でも昭和初期に一部の人々のあいだで流行した。『生みの親であるポーランドの眼科医によって提案された国際語』と名付けられたが、最初の『希望者=エスペラント』という言葉が通称となった。しかし、ことばが人工的につくることができないものであるということを証すことになった」と書いている。