あなたの会社の給与は…8割以上の企業が「賃上げを実施予定」 上がる業種はどれだ?
賃上げが大きなテーマになってきた。物価上昇に歯止めがかからず、食料品から日用品、衣料、家電などの値上げは続いている。一方、サラリーマンの給与は頭打ち……というのがこれまでの流れだったが、ここへきて「賃上げムード」が漂ってきた。
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給与は上がるのか。サラリーマンにとって大問題だ。
「ウチのカミさんから毎日のように文句を言われています。物価はどんどん上がっているのに給与は全く上がらない。いったいアナタの会社はどうなっているの? 大丈夫なの、円安倒産とか心配になるわよ」
外食産業に勤めるAさん(50代)。夕食を食べながら、カミさんの愚痴を聞くのが日課のようになっている。大学生の子供が2人いるから生活は楽じゃない。
そんなAさんにとって、ちょっと心強い調査結果が出た。東京商工リサーチの調査によると、2023年度に「賃上げ実施予定」の企業は81.6%。昨年の82.5%よりは低いもののコロナ禍の真っただ中だった20年の57.5%に比べればグッと増えている。
「これだけ物価が上がっているのです。給与が現状維持では実質的なマイナスになります。まして給与が減るなんてもってのほか。その会社の経営陣は無能といわれても仕方ないでしょう。すぐにでも社長は交代を決断するべきです」(経済評論家の倉多慎之助氏)
■メーカーや建設業は期待大
東京商工リサーチの調査だと、企業数が1000社あれば816社が賃上げを実施する。いったいどんな会社が上がるのか。
最も上がる確率が高いのは製造業だ。電機や機械、自動車などのメーカーに勤める人は期待大ということになる。
「88%以上の製造業が賃上げを実施するとしています。社員にとって、物価高に対応するための賃上げは切実ですからね。会社側からすると、給与を上げないと従業員を確保できないという理由もあります。さまざまな企業で給与の上昇が始まるので、より高い給与の会社への転職が活発になります。ただ、中小企業にとっては人材確保と賃上げのはざまに立ち、悩ましい問題を抱えることになるかもしれません」(東京商工リサーチ情報本部長の友田信男氏)
製造業の次に給与アップが望めそうなのは建設業だ。83%が賃上げ実施を予定している。卸売業も80%だった。
「日本は20年以上にわたってデフレが続き、平均給与はほぼ横ばいでした。資本主義は経済成長が前提なのでインフレが基本です。欧米諸国と賃金面で差が開いた原因はそこにあります。現在は韓国に平均給与で抜かれ、アジアトップではありません。物価上昇のいまは、賃上げのチャンスでもあります。企業経営者は苦しいかもしれません。でも、ガマンしてでも給与を上げる必要があります」(倉多慎之助氏)