コクヨ(上)「ぺんてる買収劇」はなぜ失敗したのか…同業他社のプラスが大株主に
文具最大手のコクヨ(東証プライム上場)は9月30日、45.6%の株式を保有する筆記具ぺんてる(東京、非上場)の持ち株を全て同業大手のプラス(東京、非上場)に売却すると発表した。ぺんてるの買収劇では、敵対的買収を仕掛けたコクヨとホワイトナイト(白馬の騎士)の役割を担ったプラスが激しい争奪戦を繰り広げたが、プラスが子会社にすることで決着をみることとなった。
ぺんてる株の売却額は非公開だが数十億円程度とみられ、年内にも売却が完了する見通しだ。プラスのぺんてる株式の保有比率は現在の30.7%から76.3%に高まる。ぺんてるを傘下に入れて、文具の品揃えを強化する。
コクヨは45.6%という圧倒的な株式を保有しながら、なぜ、ぺんてるの敵対的買収に失敗したのか。この間の経緯を振り返ってみよう。
騒動の発端は2012年5月、ぺんてる創業家の3代目・堀江圭馬の社長解任にさかのぼる。当時、社長の堀江は5月23日の取締役会で定年(62歳)を過ぎた役員4人の退任を求める予定だったが、ここ数年の業績不振に伴う引責を理由に、緊急の社長解任動議が出され可決されてしまった。