KADOKAWA(下)歴彦氏の大仕事はドワンゴとの経営統合 ゲーム会社への大変貌は成功だったか
天才と言われた兄の角川春樹との骨肉の争いがトラウマになっていた歴彦は、お家騒動を繰り返さないために、脱同族に踏み切った。経営の民主化を掲げ、創業家が大半を所有していた株を売り、同族経営からの脱却を目指した。若者のサブカルチャーブームに目をつけ、アニメや映画に力を入れて新境地を切り開いた。
2003年、角川書店は角川ホールディングスに移行。出版だけでなく映画、テレビ、ゲーム、ウェブから不動産、物流までを包括する一大組織となった。04年、東証1部上場を果たし、出版社では数少ない上場企業として、多角経営へと邁進した。歴彦は05年、社長を退任し、会長に。13年、商号をKADOKAWAに変更した。
歴彦の大仕事は、インターネット動画投稿サイト「ニコニコ動画」を運営するドワンゴとの経営統合だった。買収ではなく統合とした理由は川上量生(54)を後継者にするためだった。成長を遂げるには紙媒体出身者ではダメ。ネットに強い若き経営者に託すしかない。
川上は京都大学工学部卒。07年に始まったニコニコ動画が人気を呼び、日本のネット文化の発信基地となった。川上はドワンゴの持ち株会社の社長に就いた。