謎のポルシェ風EV登場! 韓国が生んだ“空力モンスター”ヒョンデ新型アイオニック6を試す
ヒョンデ アイオニック6(日本上陸未定)
うわっ、これってもしやポルシェ911のEV版? 一瞬ナゾめく新型車が登場した。韓国ヒョンデの新作EVセダン、アイオニック6だ。
世界的に進むEVシフト。火力発電の多い日本では懐疑的な声も少なくないが、米欧亜メーカーがこぞって開発を進めているのは事実。アジアでは中国メーカーと並んで急進的なのが韓国ヒョンデで、今年日本に初上陸したSUV型のアイオニック5に続き、今度は新作セダン版が世界発表されたのだ。
筆者も早速グローバル試乗会で乗ってきたが、まず驚かされたのは独特の空力ボディ。当然ながら骨格はアイオニック5と同じEV専用プラットフォームE-GMP。それだけにロングレンジモデルで言うと電池容量は微妙に増量された77.4kWh。パワースペックも前後ツインモーターモデルは微妙に上がっていて、前229ps&後325ps。速さは恐ろしく時速0-100km加速で5.1秒と、アイオニック5を上回る勢いだ。
世界で最も電費のいいEV!
しかし最大の注目は電費、つまりガソリン車で言うところの燃費であり、聞けばロングレンジモデルは77.4kWhのリチウムイオン電池搭載でWLTPモードで614kmも走るという。
これは現状グローバル販売中のEVの中ではテスラ・モデル3を凌ぐ世界最良電費。かつてハイブリッド車で言うところのトヨタ・プリウスとヒョンデ・アイオニックの燃費バトルのようなもので、まずは効率でヒョンデEVが世界を制した形になる。個人的にはこの戦いにトヨタbZ4Xが絡んでないのが非常に残念だ。
その最大の秘密は空力=空気抵抗であり、アイオニック6は前面空気抵抗を示すCd値が歴代ヒョンデ車で最も低い0.21。骨格はアイオニック5と同じE-GMPだけに、空力の良さで世界を制したのだ。
見ての通り、アイオニック6の空力デザインはスゴい。全長×全幅×全高は4855×1880×1495mmと微妙に5より長く狭く低くなっており、なによりも全体的丸く、角がとれている。リアからみると1960年代に生まれたポルシェ911のように丸くキュートで懐かしさすら感じる。
事実、開発テーマは「エレクトリファイド・ストリームライナー」で、なんと1930年代に世界で作られた空力実験車=ストリームライナーの現代解釈版。見た目のレトロ感と空力ハイテクが見事に結実してるのだ。
低重心で高剛性、セダンボディの良さが詰まっている
乗ると素晴らしいのがリアシートの居住性で、空力優先で背が低く頭上開放感こそないが、ヒザ前は身長176cmの筆者が座ってコブシが2つ以上入るほどで広い。インテリアの質感も高く、アイオニック5より都会的で大人っぽい。
ラゲッジスペースは401ℓとアイオニック5より狭めで、スタイル&空力優先の作りが伺えるが、乗り心地の良さ、静かさ、ステアリングフィールの良さはアイオニック5以上。重心が低くて剛性が高い、セダンボディの良さが詰まっている。
日本上陸は未定だが、ヒョンデEVの実力を測るには持って来いのモデル。チャンスがあればみなさんにもぜひ見て乗って頂きたいEVセダンなのだ。