原発再稼働“影の主役”は嶋田隆首相秘書官 その狙いは「東電救済」だ
9月9日、私は某メディアの取材メモを入手した。岸田文雄総理の首席秘書官、嶋田隆氏を取材したものだ。そのポイントは、今冬、来冬の電力需給が厳しくなるので、東京電力柏崎刈羽原発を再稼働させる仕組みを作るということ。原子力規制委員会が認めない限り原発の稼働は法律上不可能だが、現時点では、東電の危機管理体制などに大きな問題があるため、柏崎刈羽原発には、安全審査通過後も規制委が事実上の運転停止命令をかけている。そこで、停電のおそれがある場合などには、規制委の承認なしで国の責任で緊急に動かすことにしようというのだ。
その際、東電に対して、国が柏崎刈羽の再稼働を保障することで、東電が狙う家庭向け電力料金値上げを止めることも併せて検討されている。
規制委の権限を無視して原発を動かすためには、新たに法律が必要になるが、それも「一気に国会に議論してもらう」という。
これが本当なら大特ダネだが、まだ記事にはなっていない。私は半信半疑だったのだが、17日付日本経済新聞を見て、「やはりそうか」と思った。「東電、法人向け料金値上げ 柏崎刈羽の再稼働織り込む」という見出しの記事が伝えたのは、東京電力が2023年4月から法人向け標準料金を値上げすると発表したことだ。