“大阪産コロナワクチン”の開発頓挫…「アンジェス」は投資家らの期待を裏切り続けてきた
新型コロナワクチンの開発を巡っても過程はほぼ同じだ。20年3月の開発参入表明後、当初「21年春」としてきた実用化時期は延期に次ぐ延期を重ねる始末。21年11月には「有効性が目標としていたレベルに達しない」として、最終段階の治験断念へと追い込まれた。
それでもアンジェスでは投与する薬剤濃度を高めるなどして開発を進めてきたが、今回これも中止する。発表の翌日8日のアンジェスの株価は一時、前日終値比21%安となる252円にまで急落した。ワクチンの治験入り公表後の20年6月につけた2492円と比べるとおよそ10分の1の水準だ。
■補助金74.5億円も水の泡
それにしても気になるのはワクチン開発の促進に向けてアンジェスに投じられてきた国費の行方だろう。日本医療研究開発機構(AMED)や厚生労働省の「ワクチン生産体制等緊急整備事業」などに基づき約74.5億円もの補助金がつぎ込まれているからだ。
アンジェス側は「返還の義務はない」としているものの、厚労省は昨年末、新型コロナ向け経口治療薬の開発中止を発表した中外製薬には補助金の一部返還を求めている。
返還を諦めれば“血税”をドブに捨てたも同然とみなされかねない。