もうひとつの新語「マクロンする」誕生の背景 戦争阻止も停戦仲介もままならい“口だけの人”
引き続き、ロシアのプーチン大統領の戦争で生まれた「新語」の話。侵攻を防げなかっただけでなく、泥沼の長期戦にもつれ込んだ背景の一つとして、国際社会による仲介が機能しなかったことが挙げられる。それを象徴するような動詞がウクライナなどで誕生した。発音はロシア語だと「マクロニーチ」。フランス大統領にちなむもので、直訳は「マクロンする」。
■「心配したふり何もせず」
家事好きには洗剤やアイロンのように聞こえてしまうが、ニュアンスはネガティブだ。
パリ・エリゼ宮のあるじは2月上旬、戦争を阻止すべく両国に奔走。仲介が不発に終わり、4月の仏大統領選で一時的に動きが止まったものの、停戦に意欲的だった。
背広を着こなしたエリートのスタンドプレーは毎度のこととしても、一向に奏功しない。果たして本当に努力しているのか──。ウクライナ側で疑念がわき上がった。
冒頭の新語は、こうした行動を表す。「心配するふりをしながら何もしない」「何らかの件で理由もなくしょっちゅう電話をかける」。こんな具合に意味は多義的で一つに絞れない。「口だけの人」をやゆするニュアンスもありそうだ。