ウクライナ侵攻で数々の「新語」が誕生…戦争が「Z」の意味まで変えた
ロシアのプーチン大統領が起こした戦争により、数々の「新語」が誕生した。それだけ、世界に激動のニュースがあふれ、ウクライナでは国の命運や人の生死が日々語られたということだろう。後に歴史家だけでなく、辞書編集者も悩ませることになるかもしれない。
■記者が分からなかった「ラシスト」
2月下旬の侵攻開始直後、過去に世話になった首都キーウの知人にオンラインで取材していて、分からない言葉が出てきた。空襲警報や爆発音が聞こえるという中、彼女は「ラシスト」と繰り返してロシア軍を非難した。
プーチンは「同一民族の兄弟国」と口にしながら、明らかに差別感情を持ってウクライナ人の頭の上に爆弾を落としている。筆者はレイシスト(人種差別主義者)のスラブなまりだと思って勝手に納得していた。が、後で違うことを知った。言葉に神経を使う職業人として失格だ。
実はロシア(侮蔑的に英語発音でラシャと呼ぶ)とファシストの造語だった。独裁者を重ね合わせた「プトラー」などは、クリミア半島併合時からあったものの、あくまでスラング。対照的に「ラシスト」は現地の主要メディアでも多用されていたから、新語と判別できなかった。もはや辞書に載るレベルだろう。