小沢コージ
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小沢コージ自動車ジャーナリスト

雑誌、web、ラジオ、テレビなどで活躍中の自動車ジャーナリスト。『NAVI』編集部で鍛え、『SPA!』で育ち、現在『ベストカー』『webCG』『日経電子版』『週刊プレイボーイ』『CAR SENSOR EDGE』『MONOMAX』『carview』など連載多数。TBSラジオ『週刊自動車批評 小沢コージのカーグルメ』パーソナリティー。著書に『クルマ界のすごい12人』(新潮新書)、『車の運転が怖い人のためのドライブ上達読本』(宝島社)、『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた 27人のトビウオジャパン』(集英社)など。愛車はBMWミニとホンダN-BOXと、一時ロールスロイス。趣味はサッカーとスキーとテニス。横浜市出身。

ここが凄いよBYD! ニッポン初上陸、中国EVメーカーの本当の脅威とは?

公開日: 更新日:

BYD ATTO3(アットスリー)

 先月鳴り物入りでニッポンに初上陸した中国民族系EVメーカー、BYD。知る人ぞ知る中国ハイテク都市、深圳の新興総合メーカーで一時はリチウムイオン電池生産量で世界一になったこともある。

 自動車部門の設立は2003年とかなり最近だが、京都市にバッテリーEVバスを納入するなど、既に日本上陸済み。そのBYDジャパンが、今年7月4日付けで乗用車販売ならびに関連サービスを提供する100%子会社「BYDオートジャパン」を設立。バッテリーEV3車種を来年1月から順次発売すると発表したのだ。

 具体的にはミッドサイズSUVのATTO3(アットスリー)、コンパクトカーのドルフィン、高級セダンのシールの3台。筆者は今回、第1弾のATTO3に本拠地横浜でチョイ乗りしてきたので報告しよう。

強い個性のインテリアは日本人に受けるのか?

 サイズ的には全長4455×全幅1875×全高1615㎜とコンパクトで、狭い日本でも扱いやすい。国産車いうとほぼトヨタのカローラクロスくらいで、広めの幅以外は気にならない。

 肝心の出来映えだが、デザインは正直独特だ。BYDのチーフデザイナーはアウディ出身の欧州人で、既報によればクオリティが高いということだったが、まずは個性を強く感じた。

 外観はLEDライトを多用してイマドキではあるが、全体に丸みを帯びて動物っぽい。今回は乗れなかったが、残り2台のドルフィンやシールにしろ、完全に海洋動物を意識している。

 特に個性を感じたのはインテリア。筆者が乗ったATTO3はブルー基調だったこともあってか、合皮シートやインパネにブルーを多用。特にシートは赤系のパイピングと組み合わせられ、欧州車にも日本車にもあまりない風合い。

 また「筋肉」をイメージしたホワイト樹脂やアスレチックジムをイメージしたエアコンルーバーも独特。正直、舶来指向の強い日本人に質や色合いがどこまで受けるかは疑問も残るところだが、EVは自動車に関し固定観念を持たない若い世代に売れる可能性があり、先は読めない。

同容量バッテリー搭載の日産リーフより航続距離は長い

 肝心の走行性能だが、ボディ骨格には独自開発のBEV専用「e-プラットフォーム3.0」を採用。電気モーターは204ps&310Nmを発揮し、発進からスムーズかつ静かで十分に速い。ブレーキペダルの剛性感は若干甘く、改良の余地を感じたが、乗り心地はソフトで過不足はない。

 なによりも強みは、BYDがこれまた独自開発したリン酸鉄リチウムイオンバッテリーの「ブレードバッテリー」。文字通り刀のようなバー状の電池を並べたもので、床下に58.56kWhの大容量を載せられ、WLTCモードで485㎞の航続距離を実現している。

 これはぶっちゃけ、ほぼ同容量を搭載する日産リーフよりも航続距離が長く、効率はなかなかのもの。

 そもそもブレードバッテリー自体がクセ者で、既存のレアメタルを使った三元系バッテリーよりエネルギー密度が低く容積も増えがちだが、逆に安全性が高くて価格が安い。しかも独自のブレード型にすることにより、スペースが稼げ、事実ATTO3にしろ他社BEV並みのスペース効率を持つ。

万が一、400万円切りを果たしたら…

 つまりBYD ATTO3の凄さは、走りやクオリティ以上に基本的な安全性でありコスパにある。価格は未発表だが、これが同等の日産リーフより安い400万円前後だったり、万が一400万円切りを果たしたら恐ろしい。

 既存日本車の最大のストロングポイントである「良品廉価」の領域を脅かすことになるからだ。

 同時にBYDオートは、日本での100店舗レベルの販売ネットワーク構築も明言している。価格、安全性で他を凌ぎ、サービスでも日本車に迫るとしたら、それは脅威以外の何物でもない。残る問題は搭載電池の産地規制だが、現在日本マーケットにそういった規制はない。

 確かにスタイル、走りは完全には超えられてないかもしれない。だが自動車、特にEVの世界には新しい価値であり、基準がある。そこで追い上げられる可能性は十分にあるのだ。

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