佐高信
著者のコラム一覧
佐高信評論家

1945年山形県酒田市生まれ。「官房長官 菅義偉の陰謀」、「池田大作と宮本顕治 『創共協定』誕生の舞台裏」など著書多数。有料メルマガ「佐高信の筆刀両断」を配信中。

「まっくら」や「からゆきさん」で女性たちの声を拾い続けた森崎和江の出会いと別れ

公開日: 更新日:

 長田洋一という編集者がいる。私と同年輩で、河出書房新社で俵万智の『サラダ記念日』をヒットさせ、松下竜一の全集を出したりした。『文藝』の編集長として多くの作家と濃い付き合いをしたが、谷川雁が亡くなった時、かつて共に暮らしていた森崎に追悼文を頼んだと聞いた時は驚いた。断られたという。さもありなんである。

 谷川雁は『原点が存在する』や『工作者宣言』といった詩的著作で、若き日の私を興奮させた。吉本隆明と並んで、知る人ぞ知る存在だった。

「ともかく日本の民主主義運動は乾いている。エロスがない。大衆の混沌たる、いわば不条理とも見える無政府的な塊に惚れた形跡がない」といった谷川のアジテーションに口説かれて、森崎は谷川と同棲する。そして、『闘いとエロス』(三一書房)を書いた。

 谷川に導かれてというか、そそのかされて福岡の炭鉱街に住み、次のような激しい言葉を浴びせられて、その表現力に重しをつけたのである。

「話? きさんの話が信用さるるか。きさんのことばが信用さるるか。おまえ自身が信じきらんことばをおれが信じられるか。きさん、そげな魂のぬけたことばで労働者が釣れるち、思うか! あ? 釣れるか? きさん、釣った気色でおっとか? あ?」

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