日本メーカーにチャンス? 航空機材料で世界トップのロシア企業が排除される
古来、危機は必ず克服されるという。これが歴史の教訓である。
人類は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)をほぼ制圧した。これを受け、人流(世界的な人の往来)が復活、航空機需要が増加に転じるだろう。
航空機の材料となるチタン合金の母材「スポンジチタン」は中・長期的には奪い合いの状態となろう。実は、航空機に適した高品位の「スポンジチタン」を供給できる企業は世界的に限定されている。
すなわち、シェア順にみると、VSMPOアヴィスマ(ロシア)、大阪チタニウムテクノロジーズ、東邦チタニウム、UKTMP(カザフスタン)、ZTMC(ウクライナ)の5社である。
特にVSMPOアヴィスマは「スポンジチタン」から加工品まで一貫生産する利点を生かし、世界シェア30%を誇ってきた。ボーイング向けでは3割、エアバス向けでは5割を占めるという。
要するに、VSMPOアヴィスマは素材メーカー、チタン加工メーカーの双方において、業界トップに君臨していたのだ。それが大きく変わろうとしている。