クイーンズ伊勢丹(下)食のSPA(製造小売業)に変身して赤字から再生した
クイーンズ伊勢丹は、首都圏の1都3県に現時点で18店舗を展開している。丸の内キャピタルの傘下に入ってから化学調味料や添加物を極力使わない独自の商品を、自社工場で製造することに、一層、力を入れた。
2つのオリジナルブランド「ISETAN MITSUKOSHI THE FOOD」(ザ・フード)、「QUEEN's ISETAN ORIGINAL」(オリジナル)を自社工場で開発・製造する。
ザ・フードの価格帯は百貨店に並ぶ商品の7割から8割に設定。レトルトカレーシリーズが人気商品になっている。オリジナルは、当初はナショナルブランド(NB)の置き換えとしてスタートしたが、ここ数年は独自性の追求にシフト。各種のゼリーはロングセラー商品になった。
クイーンズ伊勢丹は、食のSPA(製造小売業)として再生に取り組んできたのである。
三越伊勢丹HDは、決算対策として赤字のクイーンズ伊勢丹を2017年に連結決算から切り離した。杉江俊彦社長(当時)は「買い戻し」を示唆していたが、小売業界の大勢は、「他社に売却される」と予想していた。業界ではいち早くローソンの名前が挙がった。ローソンは、丸の内キャピタルから高級スーパーの成城石井を取得し、ドル箱にした成功体験があったからだ。