なぜ円安なのに株高にならないのか? 過去と現在ではこう違う
円安に歯止めがかからない。24年ぶりの安値が続いている。昨年の2021年末と比べただけでも、値幅で21円、率で18%の下落だ。
日本は自動車などの輸出企業が多い。これまでは円安になれば輸出企業に有利ということで、日本の株高につながった。05年と13年から14年にかけての円安局面がまさにその典型で、日経平均株価は05年には40.2%、13年のときは56.7%も上昇した。
ところが今回の円安局面で日本株は低迷したままだ。なぜなのか。
円相場の変動が日本の輸出全体にどう影響しているかを表す「輸出の為替感応度」というものがある。日銀の分析によると、00年代半ばにはドルに対して10%円高になると、輸出は3%程度減っていた。だが、10年前後からは円安局面になっても、たとえば16年は0.2~0.4%の間で推移。17年は0~マイナス0.1%になった。つまり、円高だろうが、円安だろうが、輸出の増減とはほぼ無関係になったのだ。
なぜかといえば、日本企業の生産の現地化と国際的な通貨管理である。98年度に10%だった日本の製造業の海外生産比率は、20年度に22%強と2倍になり、決済も円建てから海外通貨建てを増やしている。財務省によると、ドル建て輸出の比率は17年上半期で51%。ユーロ建てや人民元建ての取引も拡大している。