リニア新幹線工事が「巨星墜つ」で動き出すか? 静岡県知事の“変身”に注目

公開日: 更新日:

政界通(以下=政) 南アルプストンネルの掘削が大井川の水量を減らすことへの静岡県の反発で膠着していたリニア中央新幹線(品川-名古屋)の工事が、どうやら動き出す気配だな。

官界通(同=官) 関係省庁にも、そんな期待が漂い始めたね。

財界通(同=財) 建設するJR東海のトップを長く務めた葛西敬之氏が、5月25日に亡くなったことが関係あるのか?

 「リニア新幹線は日本経済に必要」として静岡県と対立してきた葛西氏がいなくなったことは、歩み寄りの要素になるだろうが、亡くなる前の4月26日の県の会議でJR東海が出した水量の確保案が、湧水の全量戻しを求めてきた川勝平太静岡県知事の気持ちを動かしたのが大きそうだ。

 どんな案だ?

 要約すれば、静岡県区間の掘削で出る湧水が山梨県へ流出する分、大井川のダムの発電用取水を減らして埋め合わせる、という内容だ。

 あのダムは東京電力系だが、東電は同意するのか?

 JR東海は会議で「すでに協力を求めている」と明かした。すると、5月12日に川勝知事が記者会見で「非常に強い関心があり、検討に値する」と発言した。強硬姿勢一辺倒とみていた記者たちは「変身」に驚いたようだ。

静岡県との対立が解けても微妙

 地元の自治体はどうだ?

 ダムの取水量は流域の市町や東電が合意して決めたが、知事は「東電は『一滴も譲れない』と言っていたが、戻すことができる流量があるのなら歓迎すべき」と指摘し、関係市町に説明するように求めた。

 前身の国鉄が超高速走行も可能な超電導による浮上式鉄道に着眼したのが1960年代で、90年に山梨県に実験線の建設が始まった。このとき葛西氏はJR東海の副社長で、95年に社長に就任。ここから四半世紀余り、長かったな。

 静岡県との対立が解けても、2027年予定の開業に間に合うかは、微妙だ。

 葛西氏も開業を自らの目で見たかっただろうが、「巨星墜つ」がひとつの契機にもなって工事が進めば、うなずくかもしれないな。

(構成=竜孝裕・ジャーナリスト)

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