元ウクライナ侵攻後に“軟禁説”…ロシアの「灰色の枢機卿」スルコフとは何者か?
ロシアのプーチン大統領を独裁者と言う人もいるし、幾つかの政治勢力(治安機関や同郷の出身者など)の調整役と言う専門家もいる。程度の差こそあれ、政権というチームでやっていることには違いない。古い手法なのかもしれないが、その顔触れによって今後の政策を予想することが、ロシア研究ではよくある。戦争は終わるのか、この政権はいつまで続くのかと。
■クレムリンの創造主
単なる部下ではなく、大統領のブレーンや隠れたキーマンなら、その去就に注目するのは当然だ。
ソ連・ロシアの政治史に常に登場してきた「灰色の枢機卿」。プーチン政権で長い間、大統領府副長官などとしてその役割を担ったのが、ウラジスラフ・スルコフだった。
ロシア特有の「主権民主主義」という概念を確立した人物。彼がいなければ、この政権が基盤を強固にし、ここまで長期化することもなかっただろうに。憲法改正議論のさなかの2020年にクレムリンを去っており、プーチンは彼のいない状態で戦争という「大ばくち」に出たことになる。スルコフの穴を埋められる高官を、筆者は知らない。ウクライナ侵攻に当たっては、旧ソ連国家保安委員会(KGB)出身のパトルシェフ安全保障会議書記が「黒幕」だという指摘もある。