アルバイトで貯めた30万円で初めて投資 2週間で溶かすも…なぜか奮起!
遠藤さんは最近、「投資をしながら自由に生きる」(ダイヤモンド社)を上梓したばかり。1年のうち半分を国内外の見知らぬ場所を旅して回っている。
大学生の夏休み、暇つぶしの延長で「うまくいけばお金も増えて一石二鳥」と興味本位で投資をはじめている。投資に関する知識はゼロ。まずはネット証券に口座を開設し、アルバイトで貯めた全財産30万円を入金した。
「最初はFX(外国為替証拠金)取引でした。FXはドルやユーロ、ポンド、円といった各国の通貨を売買し、その価格変動や金利差を利用して利益の獲得を狙う。注文画面にとりあえず『10』という数字を入力してポチッと。これで投資デビューとなったのですが、後でこの数字の単位が『万ドル』だというのを知ってビックリ。たった30万円の証拠金で10万ドル(1000万円=当時)の通貨を買っていたのです」
こんな無知な状態では当然勝てるはずもなく、たった2週間ほどで30万円を溶かしてしまった。
「普通の感覚であるなら『もう二度と投資なんてやらない』ってなるでしょう。しかし、どういうわけか私は『2週間で全額失ったってことは、逆のことをやれば2週間でお金が倍になるってことだ』と考えたのです」
大学を卒業し、ITベンチャー企業「オープンドア」に就職。旅行比較サイト「トラベルコ」を運営する会社で、遠藤さんが入社した当時は未上場だったが、2015年に東証マザーズ、現在は東証プライム上場企業になっている。
「正式に入社してからは『社長が直属の上司』という環境で、非常に多くのことを学ばせていただきました。その一方、社会人になってからも投資はずっと続けていた。仕事を通じて『nend』(スマホのバナー広告)という広告システムを知り、将来性を感じて運営元のファンコミュニケーションズに投資しました。それが約1年で株価が6倍ほどに跳ね上がったのです」
生活に必要なお金以外はすべて投資に
調査の一環としてダウンロードした「パズル&ドラゴン」(パズドラ)にハマり、開発のガンホー・オンライン・エンターテイメントを買ったところ1年で株価は70倍。「モンスターストライク」を提供するミクシィの株価も20倍以上に大化けした。
「仕事を通じて知った身近な情報をもとに、『これは伸びそう』と思った会社の株を買ったところ一気に資産が増えていったのです。それからは毎月の給与の一部やボーナスなど、生活に必要な最低限のお金以外はすべて投資に回しました」
そのうち、こう考えるようになったという。
「投資は自分の『お金』を投じますが、就職は自分の『時間』を投じます。お金は失っても取り戻すことができますが、時間は一度失ったら二度と取り戻せません。その意味では、時間はお金より貴重なのです」
投資家への第一歩が踏み出された。 =つづく
(取材・文=中森勇人)