プーチン大統領の“忠臣”ショイグ国防相は遊牧民の血、母はウクライナ人
ロシア国防相セルゲイ・クジュゲトビッチ・ショイグ。ウクライナ侵攻で、プーチン大統領の右腕となって戦争を指揮している男だ。「元スパイ」の陰に隠れてなじみが薄かったところ、名前を聞く機会が多くなった。
そのミドルネームから分かる父親の名はクジュゲト。民族的にロシア人ではなく、モンゴルの隣でチベット仏教を信仰してきたトゥバ人だ。
■「二君に仕える」
父クジュゲトはソ連時代、シベリアのトゥバ共和国で第1副首相を務めた共産党エリート。地方出身とはいえ、息子は政治家のサラブレッドということになる。
1955年に生まれたセルゲイはスラブ風の名前だが、それもそのはず、母アレクサンドラはウクライナ出身なのだ。自分が正教の洗礼を受けた東部ルガンスク州を含め、母方の故郷で戦火を広げているのは、何と皮肉なことだろう。
いわば半分トゥバ人、半分ウクライナ人のソ連人。技師を経て、地元シベリアで父のように共産党の階段を上りつつあったなか、ソ連が崩壊した。モスクワに移り、エリツィン政権下の94年、非常事態相に抜擢。プーチンがまだサンクトペテルブルクで地方公務員だった時期に当たる。