アルファオフィス247(起業長屋の女将)藤井晶子さん(4)「人が集まる所に新たなビジネスが生まれる」
レンタルオフィス事業として始めた「CHIKOあきんど本町」は2007年で閉館したが、それまでの4年間で女将(運営者)として出会った起業家は2500人を超えるという。
そんな忙しい中、藤井さんはオーケストラコンサートを主催し、最も難しいといわれるクラシックコンサートで1800人もの集客に成功した。
06年からは「アルファオフィス247」「秘書電話代行」の運営も開始し現在に至るのだが、女将として長年携わってきた起業家を育てる気持ちは今も衰えてはいない。
「ブログやフェイスブックはもとより、『スタンドエフエム(音声配信プラットフォームアプリ)』で情報を発信しています。『女将の話や文章で元気が出ます』とか『癒やされます』の声が何よりうれしいですね。レンタルオフィスの室料は5万円~で長堀橋駅に近いこともあり、コロナ前までは満室でした。うちのウリは受付の対応ですね。お客さまには『いらっしゃいませ』、会員には『お帰りなさい』。明るく家族的な対応をさせていただいています」
男性入居者は会社員の起業家やデイトレーダー、広告代理店や輸入業の人ら。
「大学講師で臨床心理士の利用者からは、『病院と違って患者さんがリラックスできる』と好評ですね。近くの会社の面接にも使われるので、いろんな利用方法があるものだと感心させられます。異業種交流会を主催している男性とは20年来のお付き合い。関西では最大規模の老舗交流会で、有名講師が定期的に講演するなど、一目置かれる存在になっています」
鷹の目で市場を見る
アルファオフィス247は秘書電話代行もやっていて、利用する会社の人間として電話を受けている。高級感もウリのひとつで、パーティションで区切っただけの商談スペースが多いレンタルオフィスと違い、革張りのソファの応接室は会社の格を上げている。レンタルアドレスとしての利用も可能で、会議室や商談スペースが会員価格で利用できる特典付きだ。
コロナ禍で勉強会やセミナーの利用が減り、会議室の稼働率は落ち込んでいるが、ユーチューバーらの動画撮影場所としての需要もある。
「ダメージを取り返そうと目先の利益にとらわれず、鷹の目で市場を見ないといけません。今年の私の1文字は俯瞰の『瞰』。ドローンに乗ったつもりでビジネスの流れを見つめることです。コロナが落ち着いても完全に元に戻ることはないでしょう。でも、人が集まる所に新たなビジネスが生まれるもの。今はオンラインサロンが流行ですがレンタルオフィスのサロン化を考えています」
本人はもうガツガツ仕事をしないと言っているが、これからが女将としての腕の見せどころのようだ。(おわり)
(取材・文=中森勇人)