欧米の脱ロシア依存制裁がジワリ効果…薄給の兵士に“賃上げ”できず士気が急低下

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 ロシア連邦統計局は18日、今年1~3月の実質GDP(国内総生産)を発表。前年同期比3.5%増と、前期の5%増から鈍化した。次期以降は、西側の経済制裁の影響が本格化し、通年では10%超のマイナス成長に陥るのは必至とみられる。西側の経済制裁強化により、プーチン大統領の懐はますます寒くなる一方だ。ロシア兵への給料の支払いも怪しくなってきた。

 欧米は「脱ロシア依存」に必死だ。18日、EUのフォンデアライエン欧州委員長はロシアの化石燃料依存からの脱却に向け、再生可能エネルギーなどに最大3000億ユーロ(約40兆円)規模の投資計画を発表。米国のイエレン財務長官はロシア産原油に対する輸入関税について欧州と検討していることを明らかにした。

 ロシア産原油については、禁輸を実行している米英に加え、ロシア依存度が高いEUも6カ月以内に輸入を止める方針を示している。ロシアが欧州向けの減少分をインドや中国などアジア向けに回したとしても、全量をカバーするのは難しい。

 加えて、損害保険会社はロシア近海の海上輸送の損害保険を停止する動きを見せている。タンカーでの原油の大量輸送ができなくなれば、ロシアの原油輸出は壊滅的な打撃を受けることになりそうだ。

「ロシアによるウクライナ侵攻開始から、まもなく3カ月です。すでにインフレなど国民生活に影響が出ていますが、経済制裁の効果が本格的に出てくるのはこれからです。国民生活は目に見えて苦しくなり、戦争遂行のための資金繰りに支障を来たしてもおかしくありません」(国際ジャーナリスト・春名幹男氏)

ロシア兵のひどい薄給ぶり

 ロシア兵の給料は正規兵が月給6.2万ルーブル(約12万円)、徴兵された兵士は2000ルーブル(約4000円)と報じられている。正規兵はロシアの平均月給5.7万ルーブル(約11万円)をやや上回るが、徴兵された兵士は、戦地の最前線に送られないとはいえ、ひどい薄給である。

 決して高給とは言えないロシア兵に、プーチン大統領が給料を払えなくなる可能性がある。19日の毎日新聞は2013年までロシア経済学院学長を務めたパリ政治学院のセルゲイ・グリエフ教授(ロシア経済)の談話を紹介している。

 同氏は「禁輸などの制裁が強まれば、プーチン氏は兵士に報酬を支払えなくなる。制裁でプーチン氏の意思をくじくことはできないが、戦費の資金源を絶ち、戦争継続を難しくさせられる」とし、ロシア側の戦費が細ることで、「戦況はやがて膠着状態を深める可能性が高い」と分析している。

「さすがに、当面は兵士の給料が払えなくなる事態にはならないでしょうが、“賃上げ”は難しいでしょう。ロシアの物価はさらに上昇するとみられ、同じ額の給料をもらっても実質の賃下げです。兵士の不満が蓄積し、さらに士気が低下するのは避けられません」(春名幹男氏)

 戦争の長期化が指摘されている。プーチン大統領の支払い能力が追いつかないのではないか。

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