アルファオフィス247(起業長屋の女将) 藤井晶子さん(2)「起業家たちの応援をしたい」
コロナの影響で入居者の退会が相次ぐアルファオフィス247。運営責任者の藤井晶子さんは、そんな中でも焦りは見せない。
「私はもうすぐ68歳になります。ガツガツ仕事をするというより、起業家や講師業の人たちの応援をしたいという気持ちの方が強いですね。それは20年にわたる起業女将としての使命感でしょうか。今までいろんな人と関わってきましたが常に背中を押すことをしてきたような気がします」
何人もの起業家が「女将の一言で背中を押され、今までやってこられた」と言ってレンタルオフィスを卒業していった。
「ある意味そういう人たちは私の子供のような存在。育てると言えばおこがましいですが、何か力になれればとサポートを続けてきました。いつも心がけていることは『言葉の表現はオーバーに、そして頻繁に』ということ。私には2人の娘がいて、今では孫もいますが、それは子育てにも通じているかもしれません。『それ! いいわ!!』と、とにかく褒める。そして思い通りにならないことが起こったときも、常に会員の味方だということを表現する。『それでよかったのよ』『損をしても授業料を払ったと思って次へGO!』、調子がいいときは『スキスキ! それカワイイ! とかね』(笑)。そうすると目がハッとしてくる。すかさず、『ひらめいたんとちゃうん』とツッコむ。こんな感じの繰り返しです」
成功を収め有名人になった起業家も
藤井さんの安心感と包容力はバツグンで肝っ玉母さん的な存在。ただでさえ不安が多い駆け出しの起業家にとっては、商品などが売れていないと落ち込んでいるときにこういった対応をしてもらうと心強い。
今までに女将として関わってきた起業家には成功を収め、有名人になった人も少なくない。
例えば、藤井さんと同じように褒めて育てる人材育成手法が多くの企業に導入されているコンサルタント会社の代表、「セミナー講師の甲子園」を創設した人物など。
これらの起業家は2003年に始めたレンタルオフィス時代からの付き合い。インキュベーションオフィス(起業長屋)の責任者(女将)ということから、起業長屋の女将と呼ばれるようになり、周囲から「女将」と呼ばれる藤井さん。実は私自身も女将を通じて多くの人脈とのつながりを持てた一人だ。当時、異業種交流会が盛んに行われ、起業家はもとより、士業関係者や仕事帰りのサラリーマンでにぎわった。
「起業家は、発信しなければいないと同じ(笑)。なので異業種交流会などは、その機会のひとつとして重要な役割を果たしています。私自身もレンタルオフィスを始めたころ、入居者や会員になってもらうために、手あたり次第に異業種交流会に参加しましたから。今はそのお世話をする役割を担っていますが、人が人とつながるために、いろんなチャンスを得るためには不可欠ですよね」=つづく
(取材・文=中森勇人)