ジェネリック大手「日医工」が私的整理申請 赤字が1048億円に拡大
後発医薬品(ジェネリック医薬品)を巡る品質不正問題が、業界大手3社の一角の経営破綻劇にまで発展した。日医工で、先週末に事業再生ADR(裁判外紛争手続き)を申請。主力行の三井住友銀行(SMBC)をはじめとした取引金融機関による債権放棄など債務負担軽減を受けたうえで再建を目指すとしている。
日医工は2020年、国に承認されていない手順で薬剤を製造していたことが発覚。翌21年3月に主力の富山第一工場(滑川市)が富山県から32日間の業務停止命令を受けた。このため品質管理の厳格化など改善を進めてきたものの思うようにはかどらず、今なお「170品目前後で生産や出荷停止が続いている」(事情通)とされる。
製造委託先だった小林化工(福井県あわら市)の不祥事にも足をすくわれた。睡眠導入剤の成分が薬剤に混入し、2人の死者まで出す「健康被害」を引き起こしたもので、委託品の販売中止に追い込まれた。
■メガバンクは支援へ
業績は急激に悪化して21年3月期に41億円強の最終赤字に転落。22年3月期には16年に買収した北米子会社ののれんや無形資産などの減損に、原材料・製品の廃棄などを見越した棚卸資産評価損の計上も余儀なくされ、最終損失額は一気に前期比25倍超の1048億円余にまで膨らんだ。