「日本郵政」がゆうちょ銀、かんぽ生命の株を手放せないワケ
「郵政民営化法が改正されるかもしれない」
地方銀行の幹部はこう警戒する。
2012年改正の郵政民営化法では、国が日本郵政株の3分の1を持ち続ける一方、日本郵政が持つゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の金融2社の株はできる限り早期に完全処分を目指すとされている。このため日本郵政はゆうちょ銀行、かんぽ生命が上場後、順次、市場で保有株式を売却してきた。
しかし、「日本郵政グループを支えているのは金融2社の収益であり、この2社が完全に独立した瞬間に、日本郵政グループの価値は暴落しかねない。収益性の低い日本郵便のみが残り、ユニバーサルサービスの維持も困難になろう」(市場関係者)とみられている。金融2社株の完全売却は現実的な選択肢ではないのだ。
■一体経営を担保する仕組み
その一端が垣間見れたのが、朝日新聞が報じた全国郵便局長会の評議員会の議事録(3月26日)だ。この中で、局長会の末武晃会長は「日本郵政または日本郵便による一定数のゆうちょ銀行、かんぽ生命の株式の保有等、一体経営を担保する仕組みについての検討を求めていきたい」と発言したとされる。