ポピュリスト「キャラ」がかぶる反体制派指導者ナワリヌイに容赦なし
年を取り、近年は「おじいちゃん」らしい笑顔を見せることもあったロシアのプーチン大統領。2018年に通算4期目に入ると、自身のレームダック(死に体)化を恐れてか、強硬姿勢が目立つようになった。14年のクリミア半島併合などに源流を発する今般のウクライナ侵攻しかり。もう一つ挙げるとすれば、反体制派指導者への容赦ない仕打ちだろう。
アレクセイ・ナワリヌイ。プーチンが00年代に政商や石油王を追放したり、投獄したりして築いた安定もつかの間、ここ10年間の反政権デモの波と共に登場した。ブロガー、物言う株主、弁護士とカメレオンのような横顔を持つ。事実上、大統領のものと疑われている黒海沿岸の「プーチン宮殿」の存在を暴いたのも彼のチーム。
身長190センチ弱。筆者がモスクワ駐在時、15年2月に暗殺された野党政治家の四十日祭(四十九日法要のようなもの)や翌16年2月の追悼デモで目の前に現れたナワリヌイは、見上げるほど大きかった。
インターネットを通じて動員した数万人のデモ隊を自身の正統性の源泉とし、反汚職を掲げて既存勢力を批判する点では、ポピュリズム政治家にほかならない。その手法だけでなく、顔までかつてのエリツィン元大統領に似ているという指摘もある。