忌み嫌う政敵はウクライナにルーツ 一般住民の「ナワリヌイさん」も銃殺
「ナワリヌイ死亡」。この名の反体制派指導者を知る人なら、思わず「えっ」と声を上げてしまうようなニュースが4月中旬、ロシアによるウクライナ侵攻のさなかに流れた。アレクセイ・ナワリヌイといえば、プーチン大統領自身、その名を絶対口に出さないほど忌み嫌っている政権批判の急先鋒。2020年8月に軍用神経剤ノビチョクで殺されそうになった人物だ。
首都キーウ(キエフ)から約30キロ離れたブチャ。ゼレンスキー政権の転覆に失敗したロシア軍がウクライナ北部から撤退後、4月初めに民間人とみられる多くの遺体が路上や集団墓地で見つかり、世界中に衝撃が広がった。1995年のボスニア・ヘルツェゴビナ東部での約8000人殺害事件を想起させ、戦争犯罪の疑いから「第2のスレブレニツァ」とも称される。
ここで亡くなったのはアレクセイ……ではなく、住民の男性イリヤ・ナワリヌイさん(60)。現地を取材したドイツ紙ビルト日曜版の記者が4月17日、目撃者の証言やパスポート(身分証明書)の写真と共にスクープした。ちなみにアレクセイ本人はというと、ベルリンで治療後の2021年1月、あえてプーチンのいるモスクワに帰国して拘束。