日本人63人“ロシア出禁”基準はナゾだらけ プーチン大統領の狙いは?リスト入り教授に聞いた

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〈どういった基準なのか不明〉〈選出理由が全く分からん〉──。ネット上で物議を醸しているロシア外務省が公表した日本人63人の入国禁止リスト。対ロシア制裁への報復だが、なぜ今なのか、効果を期待しているのかなど、ナゾだらけだ。一体、プーチン大統領の狙いは何なのか。

 ◇  ◇  ◇

 ロシア外務省が4日に公表したリストには、岸田政権の閣僚やメディア関係者、ロシア研究者などが並んでいる。入国禁止は無期限。ロシア外務省の声明によれば、リスト公表の理由は〈日本政府は我が国との善隣関係を解体し、ロシアの経済と国際的権威を損なうことを目的とした実践的措置を講じている〉からだという。

 リストの筆頭は岸田首相。松野官房長官や林外相など閣僚7人のほか、衆参議長や沖縄・北方問題を扱う衆参両委員会の理事などもリスト入り。対象となった自民党高市早苗政調会長が自身のツイッターに〈上等やないかいっ。招かれても行かんわい!〉と投稿するなど、国会議員の反応もさまざまだ。ちなみに、ロシアの軍事侵攻について「自分の力を過信した」とプーチン大統領を批判した安倍元首相はリストから外れた。

 経済界からは唯一、経済同友会の代表幹事が「出禁」に。産経、読売、日経の新聞3社のトップに加え、週刊誌や月刊誌の幹部なども対象で、大学教授はロシア研究者など6人が名指しされた。

大使館の情報収集先はもっぱらテレビ

 リストに載せられた研究者のひとりである東大公共政策大学院の鈴木一人教授(国際政治学)は5日のTBSラジオの番組で、「他の方々はロシア研究者なのですが、恐らく私は、制裁を研究しているということで『こいつ入れとけ』みたいな感じの雑な分類で入ったのではないか」と分析していた。

 同じくリストに載った神戸学院大の岡部芳彦教授は、ウクライナ研究が専門。ウクライナ研究会の会長も務めている。リスト入りについて、日刊ゲンダイにこう答えた。

「私の活動は日本とウクライナの交流がメインですが、日本・ロシア協会常任理事や日露大学協会人材交流委員会委員なども務めており、日ロ学生交流には汗をかいてきた自信があります。したがって、このような形で情け容赦なく切られるのは残念としかいいようがありません。今回のリストは非常に興味深く、少なくとも3人の名前が間違っており、非常に仕事が粗い印象です。本省から言われて在京ロシア大使館が慌ててリストを作ったのは想像に難くありません。恐らく、大使館の情報収集先や重要視している情報源はもっぱらテレビだと思われます。『時代遅れの情報戦術』を使っており、故にロシア側が発信する情報はツイッターなどのSNSでは共感を呼ばないのでしょう」

 公表しても、効果がなければ意味はない。なぜ今のタイミングで作ったのか。プーチン大統領の思惑は一体、何なのか。

「世界的にロシアに対する抗議が高まる中、これまでロシアと関係が深い、あるいは交流のあった人々まで抗議の声を上げています。一方、彼らはロシアに行けなくなると、仕事を失う。(リスト公表は)『次はおまえだ』というような牽制の意味合いもあるかもしれません」(岡部芳彦氏)

 プーチン大統領が侵攻を続ける限り、対ロシア制裁は続く。入国禁止リストもどんどん増えていくのか。

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