明治安田生命 根岸秋男会長(3)緊迫の半年間は「会社が潰れるのではないか」と
早大理工学部から旧・明治生命に入社し、アクチュアリーという理数系の専門職に就きながら、「現場を知りたい」と営業の管理職に異動。44歳で滋賀支社長に就任した。その在職中に、世間を賑わせた保険金不正不払い事件が起きる。
「合計2回行政処分を受けるのですが、1回目は報道で知りました。この時は“本社は何をやってるんだ!”という怒りの方が強かったですね。お客さまへのお詫び訪問や2週間の営業停止はつらかったですが、この時はまだ社員には夢も希望もあり、誇りも自信も保てていました」
しかし1度目の行政処分(2005年2月)直後の4月、根岸は企画部長として本社に呼び戻され、すぐに理解した。「事態はまだ終わっていない」と。
「呼び戻された1カ月後に金融庁の立ち入り検査がスタート。それからの半年間は、私の会社人生で最も緊迫した半年でしたね」
企画部長兼特別対策本部の一員として、検査対応と社内対応に奔走。「会社が潰れるのではないか」という危機感と、一方で「何としても会社を再生させる」という強い使命感が半年間交錯し続けた。