マリコン御三家「東洋建設」の株式争奪戦 任天堂創業家系ファンドが有利な展開へ
事態は「争奪戦」へと発展した。
マリコン(海洋土木)大手の東洋建設へのTOB(株式公開買い付け)を進めているインフロニア・ホールディングス(HD)に対して、任天堂創業家由来の資産運用会社が先週末、対抗買収案の提示に踏み切った。
東洋建経営陣の賛同を前提にインフロニアによるTOB価格1株当たり770円を約3割上回る1000円で同社株を買い付けるとしている。
対抗買収を打ち出したのは、山内溥・任天堂元社長から相続した株式を原資に孫の山内万丈氏が立ち上げた「ヤマウチ・ナンバーテン・ファミリー・オフィス(YFO)」。発行済み東洋建株の最低3分の2取得を目指し、最終的には株式非公開化も視野に入れる。
YFOは前田建設工業を中核とするインフロニアが東洋建へのTOBを打ち出した3月下旬から同社株の買い占めを開始。4月19日までに東洋建株の20.19%を保有する前田建設を上回る、26.28%を握る筆頭株主となっている。また東洋建株の7.31%は村上世彰氏系の投資会社が保有しているとみられ、合わせると3分の1超。東洋建の株価は足元すでにTOB価格を大きく上回ってもおり、このままでは5月9日を期限とするインフロニアのTOBは「不成立に終わる可能性が限りなく高まった」(金融関係者)。