プーチン大統領は大誤算…侵攻2カ月でロシア軍戦力25%減、同盟国も軍事支援拒否でジリ貧

公開日: 更新日:

 ロシア軍がウクライナへの軍事侵攻を開始してから24日で2カ月。ウクライナ側の強い抵抗が続き、長期戦は避けられないとの見方が強まっている。ロシア軍は5月9日の対独戦勝記念日に向け、攻勢を強める姿勢を見せているが、ほとんど前進できていない状況だ。とうとう、保有する戦力そのものでも劣勢に立たされつつある。

 ◇  ◇  ◇

 米国防総省高官は、ロシア軍の戦力が侵攻当初から25%減少したと推計している。米欧がウクライナ軍に供与した対戦車ミサイル「ジャベリン」が威力を発揮。軍事情報サイト「Oryx」によると、これまでにロシア軍が失った戦車、装甲車、火砲、対空ミサイルは約3000に上るという。

■戦車保有台数ウクライナ軍下回る

 現在、ロシア軍がウクライナに持ち込んでいる戦車保有数は、ウクライナ軍を下回っているという。ロシア軍の戦車をウクライナ側が奪取するというケースも起きている。

 ウクライナ政府の「国家汚職防止局」は〈ロシア軍の戦車やその他装備品を奪取しても所得申告不要です〉〈安心して祖国防衛を続けてください〉と発表。戦車奪取を後押ししている。

 軍事ジャーナリストの世良光弘氏はこう言う。

「お金と引き換えに戦車をウクライナ側に引き渡すロシア兵も少なくありません。ウクライナ当局はロシア軍から243台の戦車を奪ったと発表しています。もちろん、損傷が激しくて使えないものも含まれているでしょうが、ロシア軍の戦車ならウクライナ兵も操縦できる。相手の戦力をそぎ、自軍の兵器を充実させる戦車の奪取は有効です」

CSTO5カ国が軍事支援を拒絶した背景

 米欧はウクライナへの軍事支援を充実させている。一方、ロシアは、旧ソ連6カ国で構成する軍事同盟「集団安全保障条約機構(CSTO)」に加盟するアルメニア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギス、タジキスタンに兵器や兵士の支援を求めたが、断られたという。同盟国に支援を求めたということは、兵器不足や兵士不足に陥っている可能性がある。

「CSTO5カ国が軍事支援を拒絶したのは、いま露骨にロシアを支援すると、西側から経済制裁などを科せられる可能性があり、様子を見ようという判断なのでしょう。ウクライナには西側からの兵器供与が強化されますが、ロシアは自力で用意しなければならない。ロシアにとって兵器・兵士不足が戦争継続のネックになる可能性があります」(世良光弘氏)

 ロシア兵も当初の19万人から2万人程度減ったとの見方がある。

 英国防省は24日、ロシアが大規模攻撃をしているウクライナ東部ドンバス地域の前線で、ウクライナ軍が多くの攻撃を退けているとの分析を発表。ロシア兵の士気の低下や、再編の時間が限られ、ロシア軍の戦力が弱体化した可能性を指摘している。

 これまで7人の将官が戦死したり、旗艦「モスクワ」が撃沈させられるなど、誤算つづきのロシア軍。ウクライナの予想外の強い反撃に遭っている。怒り狂ったプーチン大統領は禁断兵器に手を付けるのか。 

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    中村倫也&水卜アナ“新婚公開のろけ”が「ほっこり」から「さすがにくどい」に変わった瞬間

    中村倫也&水卜アナ“新婚公開のろけ”が「ほっこり」から「さすがにくどい」に変わった瞬間

  2. 2
    中日ロドリゲスが「亡命」で失う大金と平穏…メジャー移籍目指しすでにドミニカに入国

    中日ロドリゲスが「亡命」で失う大金と平穏…メジャー移籍目指しすでにドミニカに入国

  3. 3
    “奇跡の65歳”ピンク・レディー未唯mie 美貌の秘密は1日1食とノーパン生活

    “奇跡の65歳”ピンク・レディー未唯mie 美貌の秘密は1日1食とノーパン生活

  4. 4
    中村倫也の“水卜アナいじり”がモラハラ気味でプチ炎上も…女性からは擁護が圧倒的なワケ

    中村倫也の“水卜アナいじり”がモラハラ気味でプチ炎上も…女性からは擁護が圧倒的なワケ

  5. 5
    FA大谷争奪にスター不在の「第4の金満球団」参戦か メッツ・ドジャース・エンゼルスの“三つ巴”に殴り込み!

    FA大谷争奪にスター不在の「第4の金満球団」参戦か メッツ・ドジャース・エンゼルスの“三つ巴”に殴り込み!

  1. 6
    ガーシー容疑者側が地元警察に「オカン」の警護要請 ガサ入れ痛烈批判の裏に見るツラの皮

    ガーシー容疑者側が地元警察に「オカン」の警護要請 ガサ入れ痛烈批判の裏に見るツラの皮

  2. 7
    元特捜部長レクサス暴走事故で“新証拠”(後編)解析画像を無視した東京高裁に「職務放棄」とあきれる

    元特捜部長レクサス暴走事故で“新証拠”(後編)解析画像を無視した東京高裁に「職務放棄」とあきれる

  3. 8
    氷川きよし“Kiina”正式改名と独立復帰を阻むもの…支えてくれた母へ故郷で親孝行の日々

    氷川きよし“Kiina”正式改名と独立復帰を阻むもの…支えてくれた母へ故郷で親孝行の日々

  4. 9
    大阪万博ピンチ! 新国立の“悪夢”再び、デザインが独創的過ぎて「主要会場」が造れない

    大阪万博ピンチ! 新国立の“悪夢”再び、デザインが独創的過ぎて「主要会場」が造れない

  5. 10
    平野紫耀はタッキー新会社に? キンプリ永瀬廉と高橋海人“2人体制”番組続々発表にファン動揺

    平野紫耀はタッキー新会社に? キンプリ永瀬廉と高橋海人“2人体制”番組続々発表にファン動揺