小沢コージ
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小沢コージ自動車ジャーナリスト

雑誌、web、ラジオ、テレビなどで活躍中の自動車ジャーナリスト。『NAVI』編集部で鍛え、『SPA!』で育ち、現在『ベストカー』『webCG』『日経電子版』『週刊プレイボーイ』『CAR SENSOR EDGE』『MONOMAX』『carview』など連載多数。TBSラジオ『週刊自動車批評 小沢コージのカーグルメ』パーソナリティー。著書に『クルマ界のすごい12人』(新潮新書)、『車の運転が怖い人のためのドライブ上達読本』(宝島社)、『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた 27人のトビウオジャパン』(集英社)など。愛車はBMWミニとホンダN-BOXと、一時ロールスロイス。趣味はサッカーとスキーとテニス。横浜市出身。

ホンダN-BOXばかりがなぜ売れる? 2位にほぼWスコアの月2万5000台超え!

公開日: 更新日:

ホンダN-BOX(車両価格:¥1,448,700/税込み~)

 昨年度、トヨタヤリスに表面的には新車販売ナンバーワンの座を奪われたホンダN-BOXがまたやってくれた! 22年3月までの21年度全ジャンル新車販売で再びナンバーワンの座に輝いたのだ。かつて4年連続で1位になり、1回断ち切れてからの復活劇。なかなかの実力である。

 とはいえ、ウラ事情を聞くと見方が変わってくる。まず昨年度のヤリスのナンバーワンは、ハッチバックのヤリスとSUVのヤリスクロスの合算値がゆえ、やや上げ底気味。事実上の販売ナンバーワンは長らくN-BOXであり、今年度を含めて6年連続ナンバーワンと言ってもいいくらいだ。

 さらに去年のN-BOXは半導体不足もあり露骨に登録が少ない月もあり、人気は数字ほどは落ちてない。

 なにより今年に入ってからの売れ行きは「再爆発」と呼ぶに相応しく、軽ランキングだけを見ると決算期3月は25000台超えで、2位ルークスの13000台のほぼ倍。2月も19000台で、2位タントの8900台の完璧ダブルスコア。そもそも発売5年目に入って月間2万台前後売れるモデルなんてそうそうない。いかにN-BOX人気が異様かよく分かるが、それには昨年12月の一部改良も影響している。まさにユーザー待望の「完全停止できるACC」が付いたのだ。

ユーザー待望の「完全停止できるACC」が

 ACCはアダプティブオートクルーズの略で主に高速道路で使うべき前走車追従機能。かるがもの如く、前のクルマに従い自動でアクセル、ブレーキを踏まずにスピード調整してくれるのだが、従来のN-BOXは電動パーキングブレーキが付いてないがゆえ、完全自動停止ができなかった。筆者も改良前モデルを持っているからわかるが、高速から順調に追従走行してくれるが、時速30km以下になると急に制御が切れる。その後はドライバーがブレーキを踏まねばならず、これがヤケに面倒くさい。

 しかもガチのライバルであるスズキ・スペーシアやダイハツ・タントが完全停止できる上、兄弟車ホンダNワゴンやNワンは完全停止できるから余計悔しかった。「一番売れる一番人気のN-BOXがなぜ完全停止できないの?」と。

 20年末のマイナーチェンジで内外装に手を付けておきながら、完全停止機能を放置してるのも苛立たしかった。ホンダ開発陣は、ユーザーの気持ちに寄り添えてない…と思ったもの。

 まさに「画竜点睛を欠く」という状態で、完全停止できる渋滞追従機能付きACCや電動パーキングブレーキの標準装備化が待たれていたのだ。

当分N-BOXの天下は続きそう

 しかし付いた途端にこの売れ行き。筆者も乗っているから分かるが、確かにN-BOXは利便性、内外装、走りの上質感、維持費に不満なし。ビンボーなこの国で、ささやかな贅沢と十二分な利便性が味わえるクルマだ。かつてのユニクロのフリースのように、良さを誰もが広く実感することができる。

 ところが、海外でこの手の効率最重視のハイトールワゴンがベストセラーになることはほぼない。基本コンパクトSUVやコンパクトハッチバックがよく売れる。他国民はもっとクルマにカッコや走りの良さを求めるものなのだ。つくづく日本人の効率重視であり、謙虚な姿勢には驚かされる。

 今、バッテリーEVの普及が取り沙汰されているが、日本ではよほどの補助金が出ない限り簡単には広まらないはず。なぜなら安くて効率的で質の高い軽があるからだ。確かにN-BOXは昔の軽に比べると高くなった。しかし平気で400万~500万円を超えてくる本格的EVよりよほど安い。

 対抗できるとすれば、今後出る安めの軽EVぐらいのもの。当分N-BOXであり、背高軽カーの天下は続きそうな勢いなのだ。

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