ロシアが5.9対独戦勝記念日に「宣戦布告」か…ウクライナへの「特別軍事作戦」を拡大転換

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 ロシア軍の最強軍艦「モスクワ」の沈没以降、ウクライナ攻撃は一層激しくなってきた。南東部の要衝マリウポリの包囲を狭め、応戦するウクライナ兵に最後通告する一方、首都キーウ一帯に3日連続でミサイル攻撃。しかし、プーチン大統領が侵攻の節目とする5.9対独戦勝記念日に「戦果」をアピールするのは厳しい。メモリアルデーに東部住民の保護を掲げた「特別軍事作戦」を拡大転換し、ウクライナに正面切って「宣戦布告」をする可能性が浮上している。

 ◇  ◇  ◇

 ウクライナ軍の国産地対艦ミサイル「ネプチューン」が命中したロシア軍黒海艦隊旗艦のミサイル巡洋艦モスクワが沈没したのは14日。ロシアは「国の誇り」を失い、「南部オデーサ上陸作戦は1カ月ほどの遅れを余儀なくされる」(軍事ジャーナリスト)こととなり、攻撃はますます荒っぽくなっている。

 17日はキーウ近郊をミサイル攻撃し、インフラ施設を破壊。「市街地からウクライナ戦闘員を完全に排除した」と主張するマリウポリではウクライナ兵に対し、ロシア国防省がSNSを通じて「武器を置いたものは全員、命を保証する」と呼び掛け、期限を区切って投降するよう迫った。

 ウクライナ軍参謀本部によると、ロシア軍の海兵隊旅団が海上からの上陸作戦を準備しているという。

 英国防省による最新の戦況分析でも、ロシア軍は東部掌握に向けて、軍備増強に躍起だと指摘。戦勝記念日までの「戦果」を迫られ、必死なのだろうが、目標のさらなる下方修正は避けられそうにない。

旗艦「モスクワ」沈没でネオナチ退治が名目に

 ロシアの外交政策を専門とする英王立防衛安全保障研究所のサミュエル・ラマニ非常勤研究員は16日、〈プーチン大統領が5月9日までにウクライナで決定的な勝利を収めることはないだろう〉とツイート。さらにこう書き込んでいた。

〈彼は第2次世界大戦の戦勝記念日を口実に、より多くのロシア人を戦争に動員する可能性が高い〉

〈モスクワ攻撃はロシアにおける戦争観の転換点だ〉

 5.9はナチスドイツに対する勝利を祝う愛国デーだ。プーチン大統領は住民保護を大義名分とした「特別軍事作戦」を打ち捨て、ゼレンスキー大統領率いる“ネオナチ政権”を打倒するとの名目で「宣戦布告」するというのである。

 筑波学院大教授の中村逸郎氏(ロシア政治)はこう言う。

「プーチン大統領は戦勝記念日の当日、あるいは前日にマリウポリを電撃訪問し、華々しく式典を執り行いたいと考えていたとみています。ところが、モスクワ沈没で作戦は大きく狂ってしまった。首都名を冠した旗艦を失ったのは、モスクワ陥落に等しい衝撃です。5月9日までにマリウポリを陥落する見通しが立たなければ、戦術核の使用に動くかもしれません。ウクライナ兵に武器を捨てて退去するよう求めているのは、ある種の警告でしょう」

 ついに、なのか……。

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