バイデン大統領が前のめりの「ジェノサイド」発言 米政府高官“火消し”に追われっぱなし
バイデン米大統領の前のめり発言に、米政府高官が“火消し”に追われっぱなしだ。
バイデン大統領は12日、ロシアのウクライナ侵攻について「ジェノサイド(大量虐殺)」という言葉を初めて使って非難。記者団から「『ジェノサイド』とみなす十分な証拠があるのか」と問われても、「おぞましい行為の証拠が次々に明るみに出ている。私にはそう見える」と強調していた。
国際社会で「ジェノサイド」とは、民族などの集団を破壊する意図を持ち、虐殺などの危害を加える重大な犯罪を指す。この言葉はニュルンベルク裁判でナチス・ドイツが行ったユダヤ人の大量虐殺に対して公式に使用され、狭義にはホロコーストを意味する。
その再発防止のため、第2次大戦後に締結された「ジェノサイド条約」の定義に該当すれば、処罰することが規定されている。つまり、バイデンのジェノサイド発言は「プーチン政権はナチスと同じ。処罰せよ!」と豪語したも同然なのだ。
ロシア政府は当然、「容認できない」と猛反発。米国のサキ報道官は13日、バイデン大統領の発言は「率直な感想だ」と強調する一方、政府としてジェノサイド認定はしていないと釈明に追われた。
ポーランド訪問時もプーチン大統領を「独裁者」と
バイデン大統領は3月のポーランド訪問時でも、プーチン大統領を「独裁者」と呼んだ上で「この男(プーチン)は権力の座にとどまってはならない」と厳しく批判し、ロシアの猛反発を招いたばかり。米メディアによると、発言直後からサリバン大統領補佐官を中心につじつま合わせを協議。結局、「ロシアの体制転換」を訴えたのではないと釈明し、発言自体は取り下げないことで落ち着いた経緯がある。
ロシアの蛮行に憤慨する市井のオッサンじゃあるまいし、米国の大統領が公の場でオダを上げ、そのたび高官をヒヤヒヤさせるとは……。AP通信が重要政策で米大統領の「純粋に個人的な意見などない」と指摘した通り、バイデン大統領の発言ひとつで戦闘激化につながり、外交が破綻する恐れもある。
危険な時代に不用意な言葉で混乱の種をまき散らすなんて厄介なだけだ。誰かバイデン大統領の口をふさいでくれないか。